
【留学生インタビュー】イギリスのアートスクールへ留学中・サラさん
今回は、イギリスのアートスクールに留学中のサラさんに、留学のきっかけから現地での生活、将来の夢まで、様々なお話を伺いました。彼女の経験談は、これから留学を考えている人にとって、きっと大きなヒントになるはずです。
「留学しよう」の決め手、2週間のサマースクール
―― まずは簡単に自己紹介をお願いします。
サラです。現在、イギリスのISCA(International School of Creative Arts)というアートスクールに留学していて、学校の寄宿舎で暮らしています。特にグラフィックデザインに興味があり、日々学びを深めると同時に、大学進学に向けたポートフォリオの制作にも励んでいるところです。
趣味は音楽を聴くことで、中でもJ-POPが大好きです。もちろん留学先でも変わらずに聴いていますよ。
―― 留学に興味を持ったきっかけは何でしたか?
子供の頃から両親に「留学はいいよ」と勧められていたことと、小学校1年生から三軒茶屋インターナショナルスクールで英語を学んできたことがきっかけです。小学生の頃から漠然とした興味はあったのですが、本格的に留学を決めようと思ったのは中学2年生の時に参加したサマースクールでしたね。
中学2年生の時に、和田さん(三軒茶屋インターナショナルスクールの代表)からISCAのことを教えていただいたのがきっかけで、ISCAのサマースクールに参加することにしました。様々な国からアート好きの生徒が集まり、立体作品制作や絵画などに取り組む2週間のプログラムに参加し、「海外のアートスクールってこんな感じなんだ」と実際に体感したことで、留学への意欲が高まったのを覚えています。中でも特に先生方がとてもフレンドリーで、生徒一人一人の個性を伸ばしていこうという姿勢を強く感じられたのが印象的でしたね。
―― 留学準備で一番大変だったことは何ですか?
IELTS(※)の受験準備が大変でした。英検よりも難易度が高く、中学3年生の後半から約1年間IELTS対策の勉強をしていました。具体的には、公式問題集を自分で買って勉強したり、IELTS対策専門のスクールに通ったりしましたね。そのおかげで、入学に必要なスコア(4.5)をクリアできた時は、本当に嬉しかったのと同時にホッとしました。
ちなみに先日、大学進学のためにIELTSに再挑戦したところ、スコア6.5を取ることができました。留学によって、自分の英語力が着実に上がっていることを改めて実感しましたね。
※ELTS(アイエルツ):International English Language Testing Systemの略で、英語圏への留学や移住、就労に必要な英語力を証明するための試験。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を測定し、世界中で広く認められている。
―― 準備段階で「やっておいてよかった」と思うことはありますか?
ISCAの入学前に、現地の語学学校に3週間通ったことです 。学校での授業が始まる前に、現地で英語を話すことに慣れる時間を設けることで、入学後もすぐにクラスメイトと打ち解けられたりと、スムーズに学校生活をスタートすることに役立ちました。
また、些細なことではあるのですが、留学する国のガイドブックを読んでおいたことも良かったです。例えばバスの乗り方などをガイドブックで事前に調べておくことは、留学への不安をなくすのに役立ちました。
母の言葉が支えに。自分らしくベストを尽くすこと
―― 現地での1日のスケジュールを教えてください。
朝7時半ごろに起きて食堂で朝食を済ませたあとは、9時から学校の授業が始まります。午前の授業は12時半までで、お昼休憩を挟んで14時から17時半まで授業を受けたら、18時から夕食を食べます。
授業は1日に午前・午後の2コマだけですが、1コマの時間が長いため、その日のうちに作品を完成させるスタイルです。例えばポスターを作るという授業であれば、テーマを決めて、Photoshopでポスターのデザインを完成させるところまでを1コマで行います。時間内に完成させなければいけないというプレッシャーもあるので、授業の時間は本当にあっという間ですよ。また、アート系の科目以外にも、体育や英語の授業がある日も時々ありますね。
夕食後は、学校の課題や英語の勉強をして過ごします。週末は学校の友達とCamden Townに出かけて古着屋巡りをしたり、寄宿舎が個室なので友達の部屋へ遊びに行っておしゃべりを楽しんでいます。
―― 授業で印象に残っている体験やプロジェクトはありますか?
グラフィックデザインの授業で、短いアニメーションを制作する課題が印象に残っています。最初のうちは動画制作アプリを使いこなすのにとても苦労した分、完成した時はとても嬉しかったです。他には、学校行事のイースターに参加した時もとても楽しかったですね。
また、ロンドンの有名な芸術大学であるCentral Saint Martinsのワークショップに、1年生全員で参加したことも強く印象に残っていますね。作品が「どう使う人や見る人の役に立つのか」という点まで深く考えるようにアドバイスいただき、非常に勉強になりました。ポスターを制作した後に、「それをどこに設置するのか」といったプレゼンテーションまで求められ、大学のアート教育のレベルの高さを感じられるような内容でした。
―― 留学中に一番つらかったことは何でしたか?
留学してすぐの出来事なのですが、最初の授業の時に、周りの生徒の芸術レベルの高さに驚き、「自分は絵が下手だ」「全然ダメだ」と落ち込んでしまいました。
―― それをどう乗り越えましたか?
母と電話で話した際、「あなたはあなただから、自分のベストを尽くしなさい」と応援してもらえたことが1番大きく、大変励みにもなりました。
また、以前は完璧主義なところがあり、1つの作品に何時間もかけていたのですが、そうではなく「何枚もいろいろ試して、その中から良いものを選ぶ」というマインドに切り替えられたことも良かったのかなと思います。その結果、「自分が楽しんで作った作品の方が、周囲からも評価される」という意外な気づきも得られ、表現することへの自信にもつながりましたね。
英語力だけじゃない、「伝える力」という財産
―― 留学前と比べて、自分自身にどんな変化がありましたか?
留学前は「与えられたことを完璧にやる」ことに意識が向いていましたが、留学後は「自分の好きなことを自分で選んで、挑戦していく」という能動的な姿勢に変わりました。特に海外では待っているだけでは何も進まないので、自分から積極的に行動することがとても大事だと気づきました。
―― 将来、この留学経験をどう活かしていきたいですか?
将来はグラフィックデザイナーになりたいと思っています。今回の留学を通して、英語力だけでなく、作品を人に説明するようなプレゼンテーション能力も身についたと感じています。大学も引き続きイギリスで芸術を学びたいと考えているのですが、大学卒業後は、この「伝える力」を活かして、CDジャケットのデザインなど、好きな音楽に関わる仕事ができたら嬉しいです。
―― 留学を目指す人へ、準備や心構えについてアドバイスを3つ挙げるとしたら?
- 「ハート」が大事。
英語はあくまでも人とコミュニケーションを取るためのツールなので、文法や発音は気にしすぎず、時にはジェスチャーを交えながら、自分の伝えたい気持ちを英語で表現する勇気を持ってほしいですね。 - 日本文化についてよく知っておくこと。
留学すると、日本の文化について聞かれる機会がたくさんあります。日本のことをよく知っておくことで、「日本ではこういう時どうなの?」と質問された時にも会話が弾み、コミュニケーションがより楽しくなりますよ。 - ネイティブの英語に耳を慣らすこと。
教科書で学ぶだけでなく、TED Talkなどを活用して、ネイティブが話す自然な英語を聞くのは、英語学習においてとても効果的でした。
―― 最後に、留学に興味はあるけど迷っている人にメッセージをお願いします。
最初は不安が大きかったのですが、ロンドンに留学して本当に良かったと思っています。日本の学校と比べて少人数制なので、先生が一人ひとりをしっかり見てくれますし、他の生徒とも密なコミュニケーションが取れて、留学前に想像していた以上に満足した学校生活を送っています。
私と同じように留学に不安を感じる方は多いかと思いますが、現地に行ってみないと分からないこともたくさんあるので、チャレンジするマインドを大切に、どんなことにもぜひ挑戦してみてください。
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